裁判所で扱われる事件は、刑事事件と民事事件、それに行政訴訟に分けられる。
ここでは刑事事件について説明する。
事件から起訴まで
刑事事件は事件発生から始まる。
まず、警察官が捜査を行い、様々な証拠を収集し被疑者(容疑者とも呼ばれる)を割り出す。
ここまでは任意捜査であり、強制力はもたないので被疑者から事情聴取する場合は参考人として行うことになる。
任意捜査の結果、犯罪事実濃厚な被疑者が浮上すると、警察は裁判所に逮捕令状を申請し発行を受ける。
令状はほかに家宅捜索令状・勾留令状があり、令状に基づく捜査を強制捜査と呼ばれる。
逮捕令状による逮捕は通常逮捕または令状逮捕と呼ばれ、逮捕の種類として、ほかに現行犯逮捕・緊急逮捕がある。
警察は逮捕後48時間で取調べを行う(勾留は10日、捜査上必要ならさらに10日延長される)
その結果、間違いなく犯人だと判断した場合、被疑者の身柄は検察庁に送検される。
犯罪事案が微罪場合は検察庁に書類を送検するだけで済まされることがあり、これを書類送検という。
検察庁では検察官が捜査にあたる。
検察官は取り調べなど、必要に応じて裁判所に勾留請求を行い、被疑者の身柄を拘束することができる。
その間、供述調書や各種証拠書類を収集、作成し被疑者の犯罪事実を証明できると確信した場合は起訴し裁判になる。
客観的にどう考えても犯人であると思われる場合でも、決定的な証拠を欠く場合は不起訴になる。
また、証拠は揃っていても検察官の情状酌量によって、起訴を見送る場合がある。これを起訴猶予という。
逮捕から起訴までの間に弁護士をつけたい場合は私選弁護人を自費で雇うことができる。
国が弁護士費用を一時立て替えてくれる(無料になることもある)国選弁護人がつくのは起訴後になる。
ただし、起訴前でも一度だけ、無料で当番弁護士による接見が受けられる制度がある。
事件によっては、弁護士の手腕や力量で不起訴や起訴猶予を勝ち取る場合があるので、多少費用はかかっても逮捕後できるだけ早い段階で私選弁護人を選任したほうがよいと考えられている。
刑事裁判の流れ
起訴されると、被疑者から被告人と名称が変わる。
裁判はまず、裁判官の開廷宣言から始まる。
引き続き裁判官は目前の被告人が間違いなくこの裁判の被告人であるか、氏名・生年月日・本籍地・住所・職業などを尋ねる人定質問を行う。
次に、検察官が起訴状を朗読する。
起訴状には被告人が何を行い、その行いが何の罪名に当たるのかが簡潔にまとめられている。
それが終わると裁判官は被告人に対し「被告人はこの法廷で、質問に答えたくない時には何も答えないことができる・・・」といった黙秘権の告知がなされ起訴状の内容を認めるかどうかの罪状認否が行われる。
ここでたいていの場合、被告人はこれを認めるが、なかには「まったく身に覚えがない」と堂々と否認する被告人もいる。
裁判官は被告人と同様に起訴状の内容について弁護人にも意見を求める。
ここまでを冒頭手続という。
冒頭手続きから次は証拠調手続きに移り、検察官が冒頭陳述を行う。
冒頭陳述では起訴された犯罪事実のその動機から逮捕までの詳細や、被告人の生い立ち・家族構成・学歴・職歴・犯罪歴などのプライベート部分までも述べられる。
検察官はその犯罪事実を証明するため、証拠カード(書面)記載の関係各証拠の取調べを裁判官に請求する。
裁判官は弁護人に対し、各証拠を採用し取り調べることを認めるかどうかの意見を聞く。
認める場合は同意、認めない場合は不同意と述べる。
裁判において証拠は、原則として相手方の同意がなければ採用されない。
不同意があった証拠について、必要に応じて検察官はそれに替わる新たな証拠を提出しなければならない。
その際請求する証拠は、被害者・目撃者・共犯者・事件を担当した警察官など、証人となる場合が多い。
検察官は同意のあった証拠について、それぞれ要旨を述べ、それらを材料に犯罪事実を立証する。
その際、証拠物として犯罪時に使用されたピストルや包丁などの凶器や被告人から押収した覚せい剤などの現物が示されることもある。
検察官の立証手続きが終了すると、被告人側の出番となる。
起訴された事実について争う場合は、弁護人が冒頭陳述を行い証拠を示す。
争わない場合は情状酌量に重点がおかれ、被告人の家族や友人などが情状証人として登場し、弁護人の質問により「二度と犯罪を起させないよう、今後被告人の監督はきちんと行う」などの情状を述べる。
続いて弁護人、検察官、必要に応じて裁判官からそれぞれ被告人質問が行われ、他に立証する材料がなければ最終弁論の手続きに移る。
検察官は、ここであらめて被告人の犯罪事実を明確にし「被告人を懲役○年に処してほしい」と論告求刑を行う。
一方弁護人は、争いがある場合は無罪の主張。
争いがない場合は情状酌量の趣意を述べ「刑の執行を猶予する判決にしてほしい」とか「できる限り寛大な判決をお願いする」などと裁判所に要望する。
そして最後に裁判官が被告人に対し「これで結審するが、最後に述べておきたいことはないか」と最終陳述の機会を設け、被告人が「二度と犯罪を犯しませんので、寛大なる判決をお願いします」などと述べたところで弁論手続きが終結し、後日判決が宣告される。
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