有能弁護士はここが違う

<見極めのポイントはこれだ!>


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どんな職業でもそれに携わる個人の能力・実力に違いがある。弁護士も例外ではなく同じことがいえる。
しかし、一般人が弁護士を比較し、その能力・実力を判断する機会や情報は、今のところ皆無に近い。
だが、裁判所の法廷は、それらを量りうる数少ない場所でもある。

起訴されるということは、検察官が有罪に持ち込めると確信が持てる事件がほとんどで、それに足る証拠も十分揃っているため、裁判の主導権はおのずと検察官が握ることになる。
弁護士は被告人の言い分を材料に、圧倒的不利な状況下で弁護活動を行うのである。

被告人が無罪を主張しているとか、起訴内容に争いがある場合は、検察官が有罪と認定した各証拠に弱点はないか精査し、その弱点を徹底的に追及し、合理的な反証・反論を行い、被告人に有利な材料を引き出さなくてはならない。
述べるのは簡単だが、相当な労力を必要とする作業である。

また、被告人が弁護人に事実を伝えず、裁判に無意味な争いを仕掛けていたり、証拠上勝ち目のないことが明白な場合は、できるだけ早い段階に察知し、被告人に適切なアドバイスをし納得させ、少しでも量刑が軽くなるよう、被告人の意識を軌道修正してやらねばならない。
無意味に争ったばかりに、本来なら執行猶予刑であると予想される場合でも、反省の情が認められないとして、実刑になるケースがある。

裁判を傍聴していれば、被告人の嘘は、検察官・裁判官からの鋭い質問ですぐボロが出ることがわかる。
苦しい言い訳や弁明は悪あがきにしか思えず、印象はかなり悪い。

起訴事実を全面的に認め、争いのない裁判の場合(刑事裁判ではこのケースが圧倒的に多い)弁護人は執行猶予が可能であれば、それを獲得するため、困難であれば、できるだけ軽い刑を獲得すべく最善の弁護活動を行い、被告人に最大限有利な結果をもたらさなくてはならない。

量刑のポイントは「犯罪歴」「犯罪の動機・内容」「反省の情」「更生の余地」など。
被害者がいる場合は「謝罪の有無、意思」「被害弁償・示談交渉の進捗状況」「被害者側の落ち度の有無」「被害感情」などである。
弁護人はこれらを被告人に有利になるよう立証する。
並の弁護士(並以下の弁護士も含む)と有能弁護士との違いの大部分はここにある。

立証のメインは被告人質問と証人(情状)質問だ。とくに被告人質問は裁判のハイライトであると考えている。
ここで被告人に少しでも有利な証言をいかに導き出せるかが、並の弁護士と有能弁護士を見極めるポイントだ。

限られた時間内でソツなく、被告人に理解しやすい言葉と表現で、明瞭簡潔に質問してやらなければならない。
時には弁護人が期待する証言を引き出すため、誘導に近い質問も必要になる。

質問前には被告人に、具体的な反省の情を明らかにさせ、被害者がいる場合は謝罪、被害弁償などをあらかじめさせておくことも必要だ。
たとえば被害者に対して詫び状を書かせ送付したり、相手がその受領を拒否した場合は反省文を裁判所に提出する。
弁護人によっては本(犯罪被害者が書いたものなど)を差し入れ、その感想文を裁判官に提出させることもある。

被害弁償は弁護人自ら積極的に被害者側と接触し、被告人の家族を通じて弁償させ、示談書も交わし、嘆願書を裁判所に提出させればベストだ。
しかし、被害者との交渉は困難を極める。被告人の家族も経済的に余裕のない場合が多い。
弁護人は相手が示談にまったく応じなくても、被告人は示談の意思は十分あることを裁判所に訴え、本来なら被害者に支払うべき示談金を供託させたり贖罪寄付させることもある。

これらの準備をふまえ、被告人質問で反省や謝罪の意思・行動を具体的事実をもって証言させれば、その証言に信憑性が増すことになり、弁護人が積極的に行動することで、量刑に有利なポイントが得られるのである。

被害者とまったく接触や交渉ができず、贖罪寄付もままならぬ状態の被告人でも、被害弁償の意思だけは裁判官に伝えなければならない。
「社会復帰後働いて毎月の給料から少しずつでも支払いたい」などと被告人に証言させるのである。
さらに、贖罪の意思を証明するためドナー登録をさせる弁護人もいる。
どれほど量刑に効果があるかわからないが、マイナスにはならないはずだ。

ほとんどの弁護士は当然これらことを認識した上で弁護活動を行っているが、積極的に実践しているかとなれば疑問符がつく。
とくに、国選弁護人の場合、被害者との交渉は期待してはいけない。する必要がないと考えている弁護士もいる。
電話か手紙で相手方の様子を伺う程度で、積極的に接触し、示談交渉に介入する弁護士は極めて少ないように思う。

私選弁護人でも、どの程度相手方と交渉してくれるかはまちまちである。
国選弁護人に比べて少ないが、私選弁護人であっても、被害者との示談交渉に消極的な弁護士もいる。

以上のことを総合し、法廷ウオッチャーが判断した刑事裁判における並の弁護士と有能弁護士との違いは「被告人に有利なすべての材料(証拠)を手際よく導き出せるよう積極的に努力し、結果(判決)に最大限反映させる実践力」であると定義した。

多くの弁護士は程度の差はあっても、それなりに仕事をこなし依頼人の期待に答えていると思われている。
いうまでもなく弁護士は法律のプロであり、交渉のプロだ。同じプロの世界でも間違いなくトッププロが存在する。

各弁護士先生は、常に最善の弁護活動を行っているつもりだろうが、あなたより最善の弁護活動を行っている弁護士が存在することを素直に認識していただきたい。

もし、被告人があなたの家族や親戚であっても、いつもと同じ姿勢の弁護活動で済ますことができるだろうか。
きっと被告人(家族)のために全力を尽くして戦うだろう。
これこそがあなたにできる最善の弁護活動であり、依頼者が求めている弁護士の姿なのである。                TOPへ