犯罪者の家族もまた被害者である

<ある日突然まさかが現実に!>



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多くの人たちは自分の肉親が犯罪者になることなど考えられないだろう。また、経験した人も少ないはずだ。
まさか自分の家族に限ってそんなことあるはずとない、と思っているところにある日突然、そのまさかが起こるのである。

法廷には被告人の家族が情状証人として登場することがよくある。そこで語られる内容は悲惨極まりない。
犯罪者の家族になった苦しみは想像を絶する。

世間から白眼視され、いわれなき批難にさらされることもある。勤務先・学校で肩身の狭い思いもするだろう。
決まっていた縁談も破談になることもあるし、場合によっては転居せざるを得ない状況に追い詰められる事態も生じる。

被害者側から厳しい言葉を浴びせられ責められながらも、謝罪や示談交渉を行わねばならない。
被害弁償や示談金を捻出するため借金することもある。また、持家など財産を処分する場合もありうるのだ。

被告人が一家の大黒柱である場合はもっと深刻だ。
突然収入が途絶えてしまい、先の見通しも立たず、逮捕の瞬間から残された家族が路頭に迷うことになる。

家族の一員である被告人のため、情状証人として法廷に立てば、検察官・裁判官から厳しい質問を浴びせられ、被害弁償や示談交渉の進捗状況、被告人の更生にどんな手を尽くすのかなど、具体的な証言を求められる。
明確な証言がなければその理由を追求される。  

裁判官に土下座して減刑を願う父親。わがまま勝手に育てたことを悔い号泣きする母親。
信じていた夫に裏切られ失望する妻。いい年した息子のため、おぼつかない足どりで証言台に立ち苦悩する老婆。
乳飲み子を抱え途方に暮れ、絶望する若妻など。刑事裁判は時として残酷である。

憎むべきは犯罪を犯した張本人である。「罪を憎んで人を憎まず」という甘い言葉は通じない。
どんな事情があれども犯罪を犯すことは絶対許されない。被害者が負った肉体的・精神的・経済的被害の回復はたやすいことではない。
性犯罪被害者が負った精神的なダメージは一生かかっても拭えない。

人が犯罪を犯さない限り被害者は生まれない。犯罪者の家族であるが故の苦しみも生まれない。
犯罪者は直接の被害者のほか、自分の家族をも被害者にしてしまう。

人は欲望・憎悪など身勝手な理由で犯罪を犯す。あなたの家族が犯罪者にならない保障はなにもない。
誰でも自分の家族に限って犯罪を犯すわけがないと思い込んでいる。

しかし、現実の法廷では「まさか自分の息子が・・・」「まさか自分の夫が・・・」のオンパレードだ。
信じていた家族に裏切られ、犯罪事実に直面したショックは計り知れない。その後、逃れることのできない苦しみとの長い戦いが続くのである。

最近の法廷では、若者らによる安易な動機の事件が目立つ。
オヤジ狩りと称する強盗致傷事件。ひったくりと呼ばれる窃盗事件(無理やり奪って、相手にケガを負わせば強盗致傷事件)。
興味本位で犯す覚せい剤などの薬物事件。ほかに、幼児に対する強制わいせつ事件。グループでの強姦(輪姦)事件も目立つ。

逮捕され、ようやく自身が犯した罪の重大さに気がつく。いくら後悔しても後の祭りだ。
オヤジ狩りが刑法上では強盗致傷となり、懲役7年以上に処せられる凶悪犯罪であることなど知っていない。
一般に薬物犯罪は、初犯で、その使用と所持であれば執行猶予刑だと思われているが、薬物との絶縁が困難で再犯の可能性が極めて高いと裁判所が判断した場合、実刑にして強制的に社会と隔絶させることもある。

若者が犯した事件では、小学生らに対する強制わいせつ事件で懲役20年。一人暮らしの女性などを狙った強姦事件で懲役20年という判決も現実に下されている。
5年以上の懲役刑に処せられた若者はいくらでもいる。あなたは知らないだけである。

「どうせろくでもない家庭のことだろう」と甘く考えてはいけない。
国家公務員・現職警察官・名門私立高校教諭・会社社長・一流企業役員・公立病院事務長・地元では有名な資産家などが被告人の家族として証言台に立った場面を目撃している。サラリーマン・自営業者などが情状証人として証言台に立つケースは山ほどある。

ごく普通のどこにでもある家庭でも、犯罪者の家族になる危険性は十分ある。
刑事裁判など、自分とはまったく別の世界の出来事だと、決して油断してはいけない。                        TOPへ